相続放棄ができる期間について
相続放棄ができる期間は、民法上「自己のために相続の開始を知った時から3か月」となっています。
「自己のために相続の開始を知った時から3か月」ですから、人によって相続放棄ができる期間は異なります。この3か月間を熟慮期間と言います。相続をするのか相続放棄をするのか、よく考えて熟慮してくださいね、というものです。
① 被相続人が死亡した日⇒同居の配偶者や子供は、一般的にこの日になります。配偶者相続人や第1順位相続人(子供)は、被相続人の死亡により自分が相続人であることが分かります。例えば、被相続人が5月1日に死亡した場合、相続放棄は8月1日までに家庭裁判所に申述する必要があります。
② 被相続人が死亡したことを知った日⇒被相続人と生前付き合いが無く、被相続人の死亡を後から知った場合や相続人が海外など容易に連絡が取れない場所にいる場合などです。例えば、5月1日に被相続人が死亡して、5月15日に被相続人の死亡を知った場合は、相続放棄は8月15日までにする必要があります。
さて、ここまでは一般的なケースですが、実務上、比較的に多いのが次のケースです。
③ 特別な事情がある場合・・・なんじゃこりゃ?という感じですが、具体的には次の場合です。
⇒被相続人が死亡したことは知っていたし、自分が相続人であることも知っていた。しかし、被相続人は生前、とても貧しい暮らしをしていて遺産が何も無いと信じきっていたから、熟慮期間中は相続放棄も何もしなかった。相続放棄ができる熟慮期間がとっくに過ぎたある日、カード会社から督促が来て、この時初めて被相続人名義の債務(借金)があることを知った。
上記の場合、相続放棄ができる期間は督促状が届いてから3か月になります。
ここで、重要な要素となるのは、相続人は被相続人には遺産が何もないと信じきっていたことです。遺産が何もないと信じきっていた以上、当たり前ですが、被相続人名義の財産を処分するような行為はしていないはずで、逆に言えば、被相続人名義の財産を処分するような行為をしていた場合は、後から多額な債務が発覚しても相続放棄ができません。
この場合の処分とは・被相続人名義の口座を解約する・被相続人名義の不動産に相続登記をする・被相続人名義の建物を取り壊す・他の相続人と遺産分割協議をする
などを指し、法律上の処分行為だけでなく、事実上の処分行為も含まれます。
相続放棄は、とても難しい法律判断を迫られる手続きです。
相続放棄をお考えの場合は、是非、当事務所にご相談ください。