7月21日

遺言の検認

前回の続きで遺言の検認についてお話ししたいと思います。

自筆証書遺言の場合、保管者は遺言者死亡後、速やかに家庭裁判所に対して遺言の検認の申立をしなければなりません。自筆証書遺言書は、家庭裁判所で検認をしなければ、遺言とおりの相続登記をしたり、預金の解約手続きはできません。

検認の申立をするのは、保管者、と民法上はなっていますので、これは相続人には限られず、例えば、自筆証書遺言を預かっていた遺言者の友人などの場合もあります。

遺言の検認の流れをざっくりと説明しますと

まずは、遺言書の保管者が遺言の検認を家庭裁判所に申立します。その際、遺言者の相続人を特定するための戸籍謄本を添付する必要があります。遺言者の出生から死亡までの戸籍謄本です。

遺言の検認の請求が家庭裁判所にされると、家庭裁判所は申立人(請求者)と日程を調整して、遺言書の検認をする日を決めます。検認の日が決まったら、裁判所は、遺言者の相続人全員に「遺言の検認をしますよ。都合のいい人は立ち会ってくださいね」という内容の通知を出します。

いよいよ遺言の検認の日、相続人が集まったところで、遺言書を開封して内容を確認します。(遺言書は検認の日まで開封しないでくださいね。)

さて、ここで、遺言書の検認について、勘違いしがちなことをいくつか挙げていきます。

☆ 遺言の検認は、遺言に対しての異議を述べる場ではありません。

☆ 遺言の検認の日に立ち会わなくてもペナルティはありません。

☆ 遺言の検認がされたからと言って、自筆証書遺言が有効だとお墨付きがつくわけではありません。

つまり、遺言の検認とは、遺言に記載された内容を、相続人が集まって確認することで、それ以上でもそれ以下でもないのです。

じゃぁ、何のために遺言書の検認をするのか、相続人全員に遺言書の存在を知ってもらうためです。

遺言書の検認という手続きが無かった場合、もし、その自筆証書遺言が、偽物でも裁判所の関与なく関係者だけで相続の手続きはできてしまいます。

けれど、遺言の検認をすることによって、他の相続人も遺言の存在や遺言の記載内容を知ることができます。「あれ?この遺言、お母さんの筆跡じゃないな。」「あれ?お母さんがこんな内容の遺言を残すとは考えられないな。」そう思ったら、遺言の検認が終わった後に、遺言書の無効の訴えができますし、内容に不服であれば遺留分減殺請求ができます。つまり、遺言書の検認は、そうしたきっかけを相続人全員に与えることができるのです。

例によって長くなってしまいました。

また、次回、遺言のお話の続きをします。


 


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