9月8日

住所変更の登記

今日は不動産の住所変更の登記のお話です。

不動産の登記をする場合、例えば売買や贈与などの所有権移転登記、または、住宅ローンなどを弁済した時の抵当権の抹消登記、いずれも登記簿上の住所と現住所が異なる場合は、前提として登記名義人住所変更の登記をしなければなりません。うっかりこの登記を忘れてしまうと、法務局から電話がかかってきて、「名変(登記名義人住所変更登記のこと)をしていませんから、登記を取り下げてください」と考えたくもない状況になってしまいます。

住所変更の登記には登記簿上の住所と現住所がつながっていることを証明する公文書が必要です。

例えば、住民票の前住所の欄に登記簿上の住所が記載されていれば住民票1通でOKです。もし、住民票だけではつながらない場合は、戸籍の付票や前住所の所在地の住民票の除票などが必要になる場合があります。

しばしば頭を悩ませるのは、住民票や付票をとっても住所が繋がらない場合です。

前の住所地の住民票の除票は、住所地がよそに移ってしまうと、5年で廃棄されてしまいます。また、戸籍の付票も除籍になってから5年で廃棄されてしまいます。(ただし、市区町村によっては保管しているところもあります。ラッキーな事例です)

公的な文書で住所が繋がらないとなると、実際に登記の申請をしている人と登記簿上の名義人が同一である確証が取れません。

例えば 東京都江東区亀戸○-○-○ 山田太郎 が登記簿上の名義人だとして

東京都世田谷区成城○-○-○ 山田太郎が現在の住民票の住所だとすると、

住民票など公的な文書で住所のつながりがないと、同じ山田太郎さんでも同じ人物かどうかは分かりません。

もし違う人物だった場合、亀戸の山田太郎さんは知らない間に登記をされてしまう、という大変なことになってしまいます。

住所が繋がらない場合、できるだけこの山田太郎さんは登記名義人の山田太郎さんと同じ人ですよ、と法務局が納得できる書類を提出する必要があります。

例えば

1.不在籍・不在住証明書→これは、「その住所にこの山田太郎さんは住んでいません。本籍はありません」という公的文書です。登記簿上の住所で不在籍・不在住証明書を取れば、とりあえずは登記簿上の住所に山田太郎さんはいない。よって、登記申請人の山田太郎さんは登記名義人の山田太郎さんと同じ山田太郎さんである可能性が高い、となります。

2.納税通知書→これは、この物件の固定資産税は登記申請人の山田太郎さんが支払っているという証明です。他人の不動産の税金を払う人は、よほどのことが無い限いませんので、登記申請人の山田太郎さんは登記名義人の山田太郎さんと同一人物である可能性が高い、となります。

3.登記済権利証→これも通常登記名義人が保管しているものですので、権利証を持っている、となれば、登記申請人は登記名義人と同一人物である可能性が高い、となります。

4.上申書→これは法務局に対して「登記名義人である山田太郎は私で間違いありません」という書類を提出することです。この書類には印鑑証明書を添付します。上申書は何も書類が無い場合の最終手段です。

通常は1と2又は1と3を添付することが多いですが、やはり、住民票1通だけで住所が繋がるのが理想でしょう。

不動産のお持ちの方が、住所移転をされた場合、お早めに住所変更の登記もされることをお勧めします。

 

 

 

 

 


月別アーカイブ