利益相反②
少し間が空いてしまいましたが、利益相反の代表的な例の2つ目のお話をしたいと思います。
2つ目の代表的な例は
②未成年者と親権者の間の取引
です。
早い話が親と子供間の取引のことですね。普通に考えて親と子供で物を売買したりするなんてあまり考えられないことです。
ですが、親と子の利益相反取引は実務上、割と多くある利益相反取引です。
一番多いのが、遺産分割協議ですね。
例えば、お父さんが死亡して相続人がお母さんと未成年の子供が一人、という場合です。
未成年者は行為能力がありませんから、親権者が未成年者を代理します。しかし遺産分割協議の場合、親権者は協議の一方当事者になりますので、利益相反取引となるのです。
この場合は、家庭裁判所に特別代理人選任の申立をして、裁判所が選んだ特別代理人が遺産分割協議をすることになります。
ここで気を付けなければならないことは、特別代理人が選任されたからといって、好きなように遺産分割ができるわけではないということです。
特別代理人の選任の審判は、①特別代理人として適当かどうか→特別代理人は未成年者と利害関係が無いか ②特別代理人がする遺産分割協議の内容は未成年者にとって不利なものではないか→未成年者は最低限(法定相続分)の財産を相続できるかどうか、を審査されます。ですから、特別代理人選任の申立をする時は、実際に協議をする予定の遺産分割協議書の案を裁判所に出さなければなりません。
遺産分割協議をせずに法定相続で手続きを進める場合は、法律通りの相続分が未成年者に相続されるので、利益相反取引にあたりません。